2019年度(公財)トヨタ財団助成プロジェクトの報告書を公開しました

2020/07/15



 「全員が学習者」をコンセプトに、大学生のインターンスタッフへの学びと成長の支援を重視している私たちは、2019年度に公益財団法人トヨタ財団の助成を受け、「『よいインターン』とは何か?-大学生とNPOの双方が育つモデルの調査ー」と題した調査プロジェクトを行いました。この度成果冊子が完成したので、PDF版データを団体概要>受賞歴のページに公開しました。
『「よいインターン」とは何か?-大学生とNPOの双方が育つモデルの調査ー 2019年度トヨタ財団国内助成プログラム調査報告書』

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 人口の約1割を大学生が占めている京都市では、活発な市民活動社会の中で、大学生がNPOなどの活動にインターンシップ(以下、インターン)やボランティアの形で参加しています。中でもNPOインターンは、意欲的に参加する学生にとっては有意義な体験となることも多い一方で、活動の大半が短期間のものとなっており、知識の獲得・スキルの習得・価値観の変容などが期待しやすい本格的なNPOインターンへの参加は稀であるのが現状です。さらに、学生を取り巻く経済環境が年々厳しくなる中で、収入の増加や就職活動の成功に直結しないNPOインターンは、独自の価値を示すことができなければ埋没していく可能性もあると考えられます。

 こうした背景を問題意識に、私たちは、大学生がNPOインターンを通して得る学びの独自性および大学生の成長を支援するのに効果的なNPOの在り方(制度設計)を明らかにする必要を感じ、
・20年間におけるNPOインターンの変遷に関する文献調査
・調査設計に関する専門家へのインタビュー
・大学のボランティアセンターや中間支援団体へのヒアリング調査
・京都市内の大学生が継続的かつ活発に参加しているNPO(及び社会的企業)へのインタビュー調査
・市内全NPOに向けた大学生受け入れに関するアンケート調査
を行いました。

【インターンを取り巻く現状の調査結果】
 大学生のインターンやボランティア活動を取り巻く現状に関する調査では、大学ボランティアセンターやNPOを支援する中間支援団体へのヒアリング、及び市内NPOへのアンケート調査を通じて、
・大学ボランティアセンターは基本的に入り口的なボランティアやインターンの斡旋を中心に行っていると同時に、関心層以外の大学生へのリーチに課題を感じている
・中間支援団体は、若者のインターンやボランティア活動の経験の質に課題を感じている
・市内のNPOに関しては、大学生の受け入れに興味がある団体は多いが実際の受け入れ団体は半分程度であり、大学生を含む若年層へのリーチに課題も感じている団体も多い
といった各方面の関係者の現状や課題意識を知ることができました。

【充実したインターンモデルの調査結果】
 京都市内の大学生が参加しているNPOのうち、積極的かつ継続的にインターンを受け入れている団体を「成功モデル」として行ったインタビュー調査では、主に以下の2点が明らかになりました。
(1)インターンに参加している大学生やその卒業生は、活動を通して
 ①知識の獲得:業界や活動分野に関する知識
 ②スキルの習得:PCスキルや対人関係スキルといった社会で役立つ汎用的な技能の向上
 ③人的ネットワークの形成:大学では出会えない多様な人との出会い
 ④価値観の変化:多様な出会いによって生まれるキャリア観や自身の価値観全般の変化
といった成長が総合的にもたらされており、中でも③や④が大学生にとってNPOでの活動の満足感に特に関連している。
(2)大学生を対象にしたインターンの受け入れを積極的かつ継続的に行っているNPOでは、大学生の受け入れは単なる人員確保のために行われているのではなく、「未来を作る人材を預かっている」という意識が根底にあり、「大学生が主体的に動ける環境の提供」「対等なコミュニケーション」「全人的な成長の支援」「組織の変容への柔軟さ」といった受け入れの姿勢に共通点がある。
 こうした共通項をもとに、団体の価値観を反映した環境の中で大学生自身の成長が促進され、その結果として組織自体も発展するという、大学生とNPOが共に成長する姿の構造化を試みることができました(下図参照)。これは、NPOインターンの独自の価値やよりよいインターンの姿を検討していく際に示唆深い成果であると思われます。

 

 今後は、今回構造化した良いインターンのモデルを複数団体で協力して広げながら、その活動の中でさらにモデルを洗練させていきたいと考えています。その際、成功モデル調査にご協力いただいた団体の皆さんはもちろん、アンケート調査でNPOインターンに興味を持ってくださった団体の皆さんや、NPO以外の法人形態の団体の皆さんとも連携して活動の幅を広げていきたいと考えています。

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